
猫が毛玉を吐くのはどこまで普通なのでしょうか。毛球ができる仕組み、毛玉を吐きやすい猫、頻繁な嘔吐や空えずきなど注意したいサイン、ブラッシングなど日常でできる対策をわかりやすく解説します。
猫が突然、
「ケホッ、ケホッ」
「オエッ、オエッ」
としたあと、細長い毛のかたまりを吐いた。
猫と暮らしていると、一度は経験することがあるかもしれません。
「猫だから毛玉を吐くのは普通」
と思われがちですが、どんな嘔吐でも毛玉のせいにしてよいわけではありません。
まず、毛玉がどうやってできるのかから見てみましょう。
猫は毛づくろいをするとき、舌で被毛をなめます。
猫の舌には後ろ向きの細かな突起があるため、抜けた毛を舐め取ると、その一部を飲み込みます。
毛の主成分であるケラチンは消化されにくいため、飲み込んだ毛の多くは消化管を通って便と一緒に排出されます。
しかし、一部が胃の中に残って集まると、毛球(trichobezoar)になることがあります。
つまり、
毛を飲み込むこと自体は、猫の普通の毛づくろいに伴うこと
なのです。
実際に猫が吐いた毛玉を見ると、
「ボールじゃない!」
と思うかもしれません。
吐き出された毛球は、丸いというより、
細長い筒状
ソーセージ状
に見えることがあります。
毛のかたまりが食道を通って出てくるため、このような形になります。
フードや消化液が混ざっていることもあり、一見するとうんちのように見えることもあります。
ここは少し丁寧に考えたいところです。
健康な猫でも、ときどき毛球を吐くことはあります。Cornell Feline Health Centerでは、1〜2週間に1回程度毛球を吐くことは珍しくないと説明しています。
ただし、これは、
「すべての猫が定期的に毛玉を吐かなければならない」
「頻繁に吐いても猫なら普通」
という意味ではありません。
毛づくろいで飲み込んだ毛の多くは、本来は便と一緒に排出されます。
ですから、回数が増えてきたときは「毛玉だから大丈夫」と決めつけないことが大切です。
毛球のできやすさには個体差があります。
特に、
長毛の猫
毛づくろいをよくする猫
抜け毛が増える時期
では、飲み込む毛の量が増えやすくなります。
Cornellでは、ペルシャやメインクーンなどの長毛種では短毛種より毛球のリスクが高く、換毛期にも毛球が増えやすいとしています。
また、若い猫より、毛づくろいに慣れた成猫のほうが毛球を作りやすい傾向も指摘されています。
ここも見逃したくないポイントです。
毛玉が増えたとき、
「毛が抜ける季節だから」
だけとは限りません。
何らかの理由で猫が過剰にグルーミングしていると、飲み込む毛の量も増えます。
Cornellは、過剰な毛づくろいと毛の摂取増加の背景に、皮膚の問題などがある可能性も指摘しています。
毛玉だけでなく、
以前よりずっと舐めている
被毛が薄くなった
皮膚を気にしている
などがないかも見てみましょう。
毛玉が出てきたからといって、頻繁な嘔吐をすべて正常とは考えません。
Merck Veterinary Manualも、頻繁に毛球を吐く、あるいは繰り返し嘔吐する場合には獣医師への相談が必要としています。
特に、
最近急に回数が増えた
毛玉だけでなくフードも吐く
黄色い液や泡も吐く
食欲が落ちた
体重が減ってきた
といった変化があれば、毛玉以外の原因も考える必要があります。
猫の嘔吐には、消化管疾患だけでなく、異物、寄生虫、腎疾患、甲状腺機能亢進症などさまざまな原因があります。
猫が、
何度もえずく
吐こうとする
でも何も出てこない
という場合も注意してください。
毛球が消化管に詰まっている可能性もありますし、そもそも毛玉とは別の問題かもしれません。
Cornellでは、繰り返す空えずき、元気消失、食欲低下などがある場合には速やかな受診を勧めています。
「そのうち毛玉が出るだろう」と何日も待たないことが大切です。
これはぜひ知っておいてほしいポイントです。
猫が、
ケホッ、ケホッ
オエッ、オエッ
としていると、
「毛玉を吐こうとしている」
ように見えることがあります。
しかし実際には、呼吸器の問題による咳の場合もあります。
Cornellも、頻繁なハッキングが毛球ではなく、喘息などの呼吸器疾患による可能性があると注意を促しています。
何度も繰り返すのに毛玉が出ない場合は、できれば動画を撮って動物病院で見てもらうとよいでしょう。
頻度は高くありませんが、あります。
毛球が胃から腸へ進み、そこで詰まると、消化管閉塞を起こすことがあります。Merckでも猫の消化管閉塞の原因として毛球(trichobezoar)が挙げられています。
閉塞すると、
繰り返し吐く
食べない
元気がなくなる
便が出にくくなる
お腹を痛がる
などがみられる可能性があります。
毛玉は多くの場合大きな問題になりませんが、「絶対に安全なもの」でもありません。
はい。
日常でできる基本的な対策のひとつが、ブラッシングです。
抜け毛をブラシで取り除けば、猫が毛づくろいのときに飲み込む毛の量を減らせます。
CornellとMerckの双方が、定期的なブラッシングを毛球対策として挙げています。
特に、
長毛種
換毛期
毛づくろいの多い猫
では意識してあげるとよいでしょう。
毛玉対策をうたうフードや製品もあります。
ただし、
「毛玉を吐くから、とりあえず毛玉ケア製品」
と考える前に、頻繁に吐いている場合は原因を確認することが先です。
また、人用の便秘薬などを自己判断で猫に使うのは避けてください。
Cornellも、毛球を通過させる目的の下剤について、獣医師の承認・指導なしに使用しないよう注意しています。
毛玉を吐いたときは、
いつ吐いた?
どのくらいの大きさ?
本当に毛のかたまりだった?
月に何回くらい?
最近増えていない?
フードや黄色い液も吐く?
食欲は?
元気は?
体重は減っていない?
便はいつも通り?
を確認してみましょう。
できれば、吐いたものの写真も残しておきます。
「毛玉を吐いたと思ったけれど、実は毛玉ではなかった」ということもあります。
特に、
毛玉や嘔吐の回数が増えた
何度も吐こうとするのに何も出ない
繰り返し嘔吐する
食欲がない
ぐったりしている
体重が減っている
便が出にくい
お腹を痛がっている
咳・呼吸の異常がある
といった場合は、動物病院へ相談してください。
Cornellでは、頻繁な嘔吐に加えて、元気消失、食欲低下、血液、飲水・排尿の変化、下痢などがある猫は速やかな獣医師の評価を受けるよう勧めています。
猫は毛づくろいによって毛を飲み込みます。
その毛の多くは便と一緒に排出されますが、一部が胃にたまると毛球になることがあります。
そして健康な猫でも、時々毛玉を吐くことはあります。
でも大切なのは、
「毛玉が出たから大丈夫」ではなく、いつもと比べること。
回数が増えていない?
何度もえずいていない?
食欲はある?
体重は減っていない?
本当に毛玉?
咳ではない?
まで見てあげましょう。
毛玉は猫らしい現象のひとつですが、頻繁な嘔吐まで「猫にはよくあること」にしないことが大切です。