
犬猫はお腹が痛いとき、どんなサインを見せるのでしょうか。祈りのポーズ、背中を丸める、落ち着かない、触られるのを嫌がる、食欲低下など、姿勢・表情・行動に出る変化と受診の目安を解説します。
犬猫は、
「お腹が痛い」
と私たちに言葉で伝えることができません。
それでも、
いつもと違う姿勢をする
じっとして動かない
落ち着かない
お腹を触られるのを嫌がる
食べなくなる
など、体の使い方や行動に変化が現れることがあります。
腹痛は、胃腸炎などの消化器疾患だけでなく、膵臓など腹腔内のさまざまな問題で起こり得ます。犬猫の消化器疾患では、嘔吐・下痢・便秘・食欲低下・腹部膨満などとともに腹痛がみられることがあります。
大切なのは、
ひとつのポーズだけで判断せず、「いつものその子との違い」を見ること。
犬の腹部不快感で知られている姿勢のひとつが、
祈りのポーズ(prayer position)
です。
前脚と胸を床につけ、お尻を高く上げるような姿勢です。
腹部に痛みや不快感がある犬が、この姿勢をとることがあります。胃炎や膵炎などでも報告されています。
ただし注意したいのは、
このポーズ=腹痛ではありません。
犬は遊びに誘うときや、伸びをするときにも似た姿勢をとります。
見るべきなのは、
普段しないのに何度も繰り返す
+
元気がない・吐く・食べない
など、ほかの変化も一緒に起きていないかです。
腹部に違和感があると、
背中を丸める
体を縮める
お腹をかばうような姿勢をとる
ことがあります。
ただし、こうした姿勢も腹痛だけに特有のものではありません。
腰や関節など、別の場所の痛みでも姿勢は変わります。
そのため、
「背中を丸めている=お腹が痛い」
ではなく、
「普段と違う姿勢が続いている」
という変化として捉えましょう。痛みは姿勢や動き、行動の変化として現れることがあります。
痛みがある犬猫では、
座る
↓
立つ
↓
歩き回る
↓
また横になる
というように、なかなか落ち着けないことがあります。
逆に、
ずっと同じ場所で動かない
こともあります。
痛みのサインは必ず「騒ぐ」とは限りません。落ち着かない、快適な姿勢が見つからない、動きたがらない、隠れるといった行動変化も痛みの手がかりになります。
いつもなら平気なのに、
お腹を触ろうとすると逃げる
体を硬くする
振り向く
うなる
鳴く
怒る
といった変化が出ることもあります。
ただし、ここで大切なのは、
痛そうなお腹を何度も押して確認しないこと。
家庭で腹部を強く触って原因を探す必要はありません。
獣医師は診察時に腹部を触診し、痛みや張り、腫瘤などがないかを確認します。
痛みは表情にも現れることがあります。
たとえば、
目を細めている
ぼんやりしている
顔がこわばっている
いつもより反応が少ない
などです。
ただし、表情だけで腹痛とは判断できません。
重要なのは、
いつもの顔と違う
+
動き・食欲・姿勢も違う
という複数の変化です。
犬猫の痛みは分かりにくく、行動変化が非常に微妙な場合もあります。
猫では特に、
ベッドの下に入る
押し入れから出てこない
人から離れる
遊ばない
いつもの場所に来ない
といった変化にも注目してください。
猫の痛みや病気は、必ずしも大きな鳴き声や派手な行動として現れるわけではありません。
猫の膵炎でも症状は非特異的で、元気消失や食欲低下が代表的です。腹痛がはっきり確認されない猫も多く、猫が痛みを隠す性質が一因と考えられています。
静かだから痛くない、とは限らないのです。
腹痛があると、
ごはんを残す
匂いを嗅ぐだけで食べない
好きなおやつにも反応しない
など、食欲に変化が出ることがあります。
胃炎では嘔吐に加え、食欲低下や腹部痛がみられることがあります。膵炎でも犬猫ともに食欲低下や元気消失などがみられます。
食欲だけで腹痛を判断することはできませんが、
「お腹の様子がおかしい+食べない」
なら重要な情報です。
お腹が痛そうなときは、
嘔吐の有無
も確認しましょう。
腹痛と嘔吐が同時に起こる病気は少なくありません。
たとえば胃炎や膵炎でも、嘔吐と腹部痛がみられることがあります。
確認したいのは、
何回吐いた?
何色だった?
食べ物は入っていた?
水を飲んでも吐く?
血は混じっていない?
という点です。
腹痛が疑われるときは、うんちも重要です。
下痢
便秘
いきみ
血便
黒い便
粘液便
などがないか確認しましょう。
消化器疾患では、腹痛だけでなく、嘔吐、下痢、便秘、血便、黒色便、腹部膨満などさまざまな症状がみられます。
「お腹が痛そう」という情報と、便の変化をセットで見ることが大切です。
これは特に注意したい変化です。
いつもよりお腹が大きい
急にパンパンになった
張っているように見える
場合です。
腹部膨満には、ガス、液体、食べ物の貯留、消化管の閉塞など複数の原因があります。
特に、
お腹が急に膨らんだ
落ち着かない
吐こうとしているのに何も出ない
といった症状がある場合は、緊急性の高い状態も考えられます。
この場合は様子を見ず、速やかに動物病院へ連絡してください。
「お腹が痛そう」というと、
胃や腸だけを想像しがちです。
しかし腹部には、
胃
腸
膵臓
肝臓
胆のう
腎臓
膀胱
生殖器
など、さまざまな臓器があります。
そのため、姿勢や行動だけから、
「胃が痛い」
「腸が痛い」
と場所まで判断することはできません。
Merck Veterinary Manualでも、犬猫の腹痛は特定の腹腔内臓器へ局在させるのが難しいとされています。
お腹が痛そうだと感じたら、
いつから?
どんな姿勢?
何度も繰り返す?
食欲は?
元気は?
吐いた?
下痢・便秘は?
おしっこは出ている?
お腹は膨らんでいない?
最近、異物を口にした可能性は?
などを確認しましょう。
そして、姿勢や行動は動画を撮っておくのがおすすめです。
病院へ着いたころには普通の姿勢に戻っていることもあるため、
「家でどんな動きをしていたか」
を獣医師に見せられると役立ちます。
特に、
強く痛がっている
痛そうな状態が続く
何度も吐く
水も飲めない
ぐったりしている
食べない
血を吐く
血便・黒い便が出る
お腹が大きく膨らんでいる
異物・毒物を口にした可能性がある
といった場合は、動物病院へ相談してください。
また、
お腹が急に膨らむ+吐こうとしても吐けない
という状態は、緊急性の高い病気が含まれるため、すぐに獣医療機関へ連絡してください。腹部膨満には消化管閉塞なども含め複数の原因があります。
犬猫のお腹が痛いとき、
祈りのポーズ
背中を丸める
落ち着かない
じっとして動かない
触られるのを嫌がる
隠れる
食欲が落ちる
などの変化がみられることがあります。
ただし、
ひとつの姿勢だけで「腹痛」と判断することはできません。
一番大切なのは、
「いつものこの子と違う」
という変化です。
姿勢・表情・行動だけでなく、食欲、嘔吐、うんち、おしっこ、元気まで一緒に観察してみましょう。