
犬猫がごはんを食べたあとすぐ吐いたら?嘔吐と吐き戻し(吐出)の違い、未消化のフードを吐くときに確認したいポイント、考えられる原因、動物病院を受診する目安をわかりやすく解説します。
ごはんを食べ終わったと思ったら、
「すぐに全部出してしまった」
「フードがほとんどそのまま出てきた」
「食べた直後なのに吐いた」
こんなことがあると心配になりますよね。
でも、食後に口から食べ物が出てきたからといって、すべてが同じ「嘔吐」とは限りません。
まず確認したいのが、
本当に「吐いた」のか、それとも「吐き戻した(吐出)」のか。
この違いは、原因を考えるうえでとても重要です。
食べ物が出てきたときは、出てきた物だけでなく、その直前の犬猫の動きを思い出してみましょう。
嘔吐は胃や上部小腸の内容物を吐き出す能動的な動作です。
吐く前に、
気持ち悪そうにする
よだれが増える
何度も飲み込む
えずく
お腹に力が入る
といった様子がみられることがあります。
吐出は、食道にある食べ物や液体が比較的受動的に口から戻ってくる現象です。
強くえずいたり、お腹を大きく収縮させたりせず、突然「スルッ」と出てくることがあります。
食後すぐに、
ほとんど消化されていないフード
が出てくることがあります。
特に吐出では、まだ胃まで到達していない、あるいは食道にとどまっていた内容物が戻ってくるため、未消化のまま出てくることがあります。
食道の形を反映して、細長い筒状に見えることもあります。
ただし、
「未消化=必ず吐出」
とは決められません。
食べてから短時間で嘔吐した場合にも、フードが十分に消化されていないことがあります。
だからこそ、吐いた物だけでなく、吐くときの動作を見ることが大切です。
動物病院で説明するときには、
食べてから何分後・何時間後だったか
も重要な情報になります。
たとえば、
食べ終わって数分後
↓
ほとんど前触れなく未消化のフードが出た
という場合には、吐出かどうかを考える手がかりになります。
一方で、
食後に気持ち悪そうにしていた
↓
何度もえずいた
↓
お腹に力を入れて吐いた
のであれば、嘔吐の可能性を考えます。
食後すぐにフードを戻すと、
「急いで食べたからかな?」
と思うことがあります。
食べ方や一度の食事量が関係しているケースも考えられますが、食後すぐに戻す=早食いと決めつけないことが重要です。
繰り返す場合には、
食道の炎症
食道の運動異常
食道内の異物
食道狭窄
巨大食道症
など、食道の病気が隠れている場合もあります。
食後の吐出を繰り返すときに知っておきたい病気のひとつが、巨大食道症(メガエソファガス)です。
食道が拡張し、食べ物を胃へ正常に送り込む働きが低下する病気です。
代表的な症状が吐出です。
犬では、食べたあとに未消化の食べ物を戻したり、体重が減ったりすることがあります。先天性だけでなく、成犬になってから別の疾患に伴って起こることもあります。
ただし、
食後に一度吐き戻した=巨大食道症
ではありません。
何度も繰り返す場合に、獣医師が必要に応じて検査します。
吐出を繰り返している場合に注意したいのが、
誤嚥性肺炎
です。
戻ってきた食べ物や液体が気管・肺へ入ってしまうことで起こることがあります。
巨大食道症などでは、吐出に伴う誤嚥性肺炎が重要な合併症になります。
特に、
咳をする
呼吸が速い・苦しそう
元気がない
発熱している
などがあれば、早めに動物病院へ相談してください。
食後すぐでも、実際に起きているのが嘔吐なら、原因は食道だけではありません。
犬猫の嘔吐は、
胃腸の病気
異物
食事に関連する問題
寄生虫
膵炎
腎臓・肝臓などの病気
中毒
など、さまざまな原因で起こります。
つまり、
「食べた直後だから、ごはんのせい」
とも限らないのです。
犬猫は、おもちゃ、布、プラスチックなど、食べ物ではないものを飲み込んでしまうことがあります。
猫では、ひもや糸などの線状異物にも注意が必要です。
消化管に異物が詰まると、
嘔吐
食欲低下
元気消失
腹痛
などがみられることがあります。
「何か飲み込んだかもしれない」という心当たりがある場合は、単なる食べすぎや早食いだと考えず、動物病院へ相談してください。
食後に吐く・吐き戻す場合は、
何を食べた?
どのくらい食べた?
どのくらいの速さで食べた?
食後何分で起きた?
水を大量に飲んだ?
なども記録してみましょう。
繰り返す場合には、
朝は大丈夫
夜だけ起こる
あるいは、
ドライフードでは起こる
別の食形態では違う
など、パターンが見えてくることもあります。
ただし、原因が分からない状態で食事方法を大きく変え続けるより、繰り返す場合は原因を調べることを優先しましょう。
吐いたあとにケロッとして、
「また食べたい!」
という犬猫もいます。
元気そうだからといって、原因が必ず軽いとは限りません。
特に吐出の場合、胃まで食べ物が届いていないこともあるため、食欲が残っていることがあります。
大切なのは、
食欲があるかどうかだけでなく、同じことを繰り返していないか
を見ることです。
これはぜひ覚えておいてください。
吐く瞬間を動画に撮る
ことができれば、診察時に役立つことがあります。
嘔吐と吐出では、
お腹に力が入っているか
えずいているか
突然出てきたか
などに違いがあります。
さらに、吐いたものの写真も撮っておきましょう。
食後に吐いたら、
食べてから何分後?
何を食べた?
未消化だった?
液体・泡はあった?
えずいた?
お腹に力が入った?
何回起きた?
食欲はある?
元気はある?
下痢は?
体重は減っていない?
咳をしていない?
を確認してみましょう。
「食後すぐ吐いた」だけではなく、前後の様子まで記録する。
これが原因を探す大切な手がかりになります。
特に、
食後の嘔吐・吐出を何度も繰り返す
水を飲んでも戻す
血が混じっている
食欲がない
元気がない
下痢もしている
お腹を痛がっている
体重が減ってきた
異物・毒物を口にした可能性がある
といった場合は、動物病院へ相談してください。嘔吐に元気消失、食欲低下、腹痛、下痢、脱水、血液などが伴う場合には、早めの評価が必要です。
また、吐出を繰り返していて、
咳・発熱・呼吸が苦しそう
などがある場合も、誤嚥性肺炎の可能性を含めて早めの診察が必要です。
食後すぐに食べ物が出てきたとき、最初に確認したいのは、
嘔吐?
それとも吐出?
です。
そして、
食後何分?
未消化?
えずいた?
お腹に力が入った?
何回繰り返した?
食欲・元気は?
咳はない?
まで一緒に見てみましょう。
特に、未消化の食べ物が前触れなくスルッと出てきた場合は、「嘔吐」ではなく「吐出」の可能性があります。
「早食いかな」で終わらせず、その子がどうやって吐いたのかを見ることが、原因を考える第一歩です。