
犬猫が吐いたとき、どのタイミングで動物病院へ行けばよいのでしょうか。何度も吐く、血が混じる、元気や食欲がない、水も吐く、お腹が痛そうなど、受診を考えたいサインと緊急性の高い症状をわかりやすく解説します。
犬猫が突然吐くと、
「すぐ病院へ行ったほうがいい?」
「一度だけなら様子を見てもいい?」
と迷いますよね。
健康な犬猫でも、一時的に吐くことはあります。
一方で、嘔吐は胃腸の問題だけでなく、異物、膵炎、腎臓・肝臓の病気、毒物など、さまざまな原因で起こります。
だから大切なのは、
「吐いたかどうか」だけではなく、吐いたあと犬猫がどうしているかを見ること。
受診を考えるポイントを順番に見ていきましょう。
一度吐いたからといって、すべてが緊急というわけではありません。
たとえば、
1回だけ吐いた
その後はいつも通り
元気がある
食欲がある
ほかの症状がない
という場合もあります。
Merck Veterinary Manualでも、犬の短期間・単発的な嘔吐では、ほかの異常を伴わないケースがあるとしています。
ただし、ここで大切なのは、
「1回だから絶対大丈夫」ではない
ということ。
異物や毒物を口にした可能性があるなど、回数とは別に急いで受診すべき状況もあります。
短時間に何度も吐く場合は注意が必要です。
繰り返す嘔吐によって、
水分
電解質
などが失われ、脱水につながることがあります。長く続く・繰り返す嘔吐では、脱水、電解質異常、体重減少、元気消失などを伴うことがあります。
「何回なら危険?」と回数だけで線を引くより、
短時間に繰り返していないか
吐く回数が増えていないか
吐いたあと元気があるか
まで一緒に確認しましょう。
なお、VCA Urgent Careでは、24時間以内に2回を超えて吐いた場合を受診の目安のひとつとしています。これは絶対的な診断基準ではありませんが、迷ったときの参考になります。
嘔吐物に血が混じることがあります。
たとえば、
鮮やかな赤い血
や、
茶色〜黒っぽい、コーヒーかすのようなもの
です。
嘔吐に血が混じっている場合は、受診を考える重要なサインです。Merckでは、血を伴う嘔吐はより詳しい検査が必要となる状況のひとつとして挙げています。
血の量だけで重症度を自己判断しないようにしましょう。
できれば片づける前に写真を撮っておくと、診察時に役立ちます。
これは特に大切です。
吐いたあと、
いつもの場所を歩いている
反応も普段通り
なのか、
横になったまま
呼びかけへの反応が弱い
動きたがらない
ふらつく
のかでは意味が違います。
猫でも、嘔吐に元気消失・脱力・食欲低下・血液・下痢などを伴う場合は、速やかな獣医師の評価が勧められています。
極端な元気消失や脱力、立てない・歩けないといった状態は、より緊急性が高くなります。
嘔吐に加えて、
ごはんを食べない
大好きなおやつにも反応しない
場合も注意しましょう。
特に猫では、頻繁な嘔吐に食欲低下などが伴う場合、獣医師による評価が勧められています。
「吐いたから今日は食べたくないだけかな」
と決めつけず、
どのくらい食べていないのか
元気はあるのか
ほかの症状はないのか
も確認してください。
嘔吐を繰り返しているときに重要なのが、
水分を保てているか
です。
飲んでもすぐ吐いてしまう状態では、水分を十分にとれず、脱水につながる可能性があります。
嘔吐そのものも脱水の原因になります。猫の脱水では、元気消失、脱力、食欲低下、粘膜の乾燥などがみられることがあります。
何度も吐き、水も保てない場合は、動物病院へ相談しましょう。
嘔吐と下痢が同時に起こることもあります。
この場合も、
回数
水っぽさ
血の有無
食欲
元気
を確認します。
猫では、下痢が続き、さらに食欲低下・元気消失・嘔吐などの全身症状がある場合、早めの獣医療が勧められています。
嘔吐と下痢が続けば、その分だけ水分を失うことにも注意が必要です。
吐いている犬猫が、
祈りのポーズを繰り返す
背中を丸める
お腹を触られるのを嫌がる
落ち着かない
じっと動かない
などの様子を見せる場合があります。
腹痛を伴う嘔吐は、詳しい評価が必要になるサインのひとつです。Merckでも、腹痛を伴う嘔吐は詳細な検査を考える状況として挙げられています。
強い痛みがある場合は、早めに受診してください。
ここは、ぜひ覚えておいてください。
犬が、
何度も吐こうとする
えずく
でも何も出ない
さらに、
お腹が急に膨らんでいる
落ち着かない
苦しそう
という場合です。
腹部膨満と、何も出ないのに繰り返し吐こうとする状態は、胃拡張・胃捻転(GDV)などの緊急疾患でみられることがあります。VCAとCornellの救急情報でも、緊急評価が必要なサインとして挙げられています。
この場合は、
様子を見ず、すぐ動物病院へ連絡してください。
犬猫は、
おもちゃ
布
ビニール
ひも・糸
スポンジ
その他の食べ物ではないもの
を飲み込むことがあります。
異物による消化管閉塞でも嘔吐が起こることがあり、X線検査などで生命を脅かす異物を調べることがあります。
「何回吐いたか」だけではなく、
何かなくなっていないか
誤飲を目撃していないか
も確認しましょう。
これも回数に関係なく重要です。
たとえば、
人の薬
犬猫に有害な植物
家庭用品
犬用の一部の薬剤を猫が舐めた
などです。
毒物摂取では嘔吐、下痢、元気消失、食欲低下、けいれん、呼吸困難などさまざまな症状が起こり得ます。疑わしい場合は、症状がそろうまで待たず獣医師へ連絡してください。
そして重要なのが、
自己判断で吐かせないこと。
物質によっては吐かせることでさらに危険になることがあります。
同じ「吐いた」という症状でも、
年齢
体格
持病
全身状態
によってリスクは変わります。
特に体の小さな子や、もともと病気のある犬猫では、嘔吐による脱水などの影響を受けやすい場合があります。
「まだ1回だから」と回数だけで決めず、その子の状態を見て受診を判断しましょう。
診察で役立つのは、
いつ吐いた?
何回吐いた?
食前?食後?
何を吐いた?
血はあった?
最後に食べたのはいつ?
水は飲める?
食欲・元気は?
下痢は?
おしっこは?
お腹を痛がっていない?
異物や毒物の可能性は?
という情報です。
吐いたものは、可能なら写真を撮っておきましょう。
吐く瞬間を撮影できた場合は、動画も役立ちます。
「1回なら大丈夫」
「3回なら病院」
のように、すべての犬猫に共通する一本の線を引くことはできません。
たとえば、
1回しか吐いていなくても、ぐったりしている
なら心配です。
反対に、一時的な嘔吐で、その後は普段通りという場合もあります。
判断するときは、
回数
血
食欲
元気
水分
腹痛
下痢
異物・毒物の可能性
を組み合わせて見ましょう。犬猫の嘔吐では、こうした随伴症状が受診判断や原因究明の重要な手がかりになります。
この記事では、最後にこの部分を色付きの囲み枠にするのがおすすめです。
何度も激しく吐く
血を吐く
ぐったり・脱力している
水も保てない
強くお腹を痛がる
お腹が急に膨らんだ
吐こうとしても何も出ない
呼吸がおかしい
異物を飲み込んだ可能性がある
毒物・薬を口にした可能性がある
特に、重度・持続性の嘔吐、何も出ないのに繰り返すえずき、膨らんで痛みのある腹部、呼吸困難、強い脱力などは、救急診療で緊急評価の対象となる症状です。
犬猫が吐いたとき、
まず見るのは、
何回?
何を吐いた?
血は?
元気は?
食欲は?
水は飲める?
お腹は痛そう?
下痢は?
異物や毒物の可能性は?
です。
一度だけの嘔吐で、その後普段通りに過ごすケースもあります。
一方で、
何度も吐く・血が混じる・元気がない
といった変化は、受診を考える重要なサインです。
「何回吐いたか」だけではなく、その子全体を見る。
これが、受診のタイミングを考えるうえで大切なポイントです。
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