
ペットフードの袋の裏を見ると、
粗たんぱく質 30%以上
粗脂肪 15%以上
粗繊維 5%以下
粗灰分 8%以下
水分 10%以下
などと書かれています。
「数字がいっぱいで、結局どこを見ればいいの?」
と思ったことはありませんか?
この表示は、フードの栄養的な特徴を知るための大切な情報です。
ただし、
たんぱく質は高いほど良い。
脂肪は低いほど良い。
繊維は多いほどお腹に良い。
という単純なものではありません。
まずは、それぞれの数字が何を表しているのかを見てみましょう。
まず気になるのが、
粗たんぱく質
の「粗」という文字です。
これは、
「質の悪いたんぱく質」
「大ざっぱなたんぱく質」
という意味ではありません。
英語では Crude Protein と呼ばれ、一定の分析方法によって求められた値です。
同じように、
粗脂肪
粗繊維
粗灰分
にも「粗」が使われます。
ですから、
「粗」が付いている=粗悪な成分
ではありません。
ここは安心して大丈夫です。
たとえば、
粗たんぱく質 30%以上
と書かれていたとします。
これは、
「たんぱく質が必ずちょうど30%入っています」
という意味ではありません。
表示上、保証される最低値が30%ということです。
一方、
粗繊維 5%以下
なら、こちらは保証される最大値です。
日本のペットフード表示では、
たんぱく質 → ○%以上
脂質 → ○%以上
粗繊維 → ○%以下
灰分 → ○%以下
水分 → ○%以下
という形で表示されます。
つまり「以上」と「以下」が混ざっているのには理由があります。
たんぱく質は、
筋肉
皮膚
被毛
酵素
ホルモン
など、体をつくり、維持するために欠かせない栄養素です。
犬にも猫にも必要ですが、必要量はライフステージや健康状態などによって異なります。
そして大切なのは、
粗たんぱく質の%だけでは、たんぱく質の「質」までは分からない
ということです。
たとえば、
粗たんぱく質30%のフードA
粗たんぱく質35%のフードB
があっても、
35%だからBの方が必ず良い
とは言えません。
原材料、アミノ酸組成、消化性、エネルギー量、その犬猫に必要な栄養なども関係するからです。
「高たんぱく=高品質」ではない。
これはフード選びで覚えておきたいポイントです。
脂肪は、犬猫にとって重要なエネルギー源です。
さらに、
必須脂肪酸の供給
脂溶性ビタミンの利用
皮膚・被毛
などにも関係します。
粗脂肪も、
「○%以上」
と最低保証値で表示されます。
ここでも、
脂肪が少ない=健康的
とは限りません。
反対に、
脂肪が多い=良いフード
でもありません。
活動量や年齢、体格、健康状態、そしてフード全体のカロリーなどと一緒に考えます。
ここは少し注意が必要です。
粗繊維(Crude Fiber)
と書いてあると、
「このフードに含まれる食物繊維の総量」
と思ってしまいそうですが、厳密には同じではありません。
粗繊維は、一定の分析法で測定された繊維成分です。
そのため、
粗繊維○%=フード中のすべての食物繊維が○%
とは限りません。
食物繊維には、
セルロース
ペクチン
イヌリン
フラクトオリゴ糖(FOS)
など、性質の異なるものがあります。
腸内細菌によって発酵されやすいものもあれば、そうではないものもあります。
したがって、
「粗繊維が多い=腸に良い」
とも単純には言えません。
そしてフードを比較するときに忘れやすいのが、
水分
です。
たとえば、
ドライフード:水分10%
ウェットフード:水分80%
だったとします。
ウェットフードは大部分が水分なので、パッケージに表示されるたんぱく質の割合は低く見えます。
でも、
「表示%が低い=たんぱく質が少ないフード」
とは限りません。
ここが、成分表示を読むときの大きな落とし穴です。
例を見てみましょう。
粗たんぱく質 30%
水分 10%
粗たんぱく質 10%
水分 75%
数字だけを見ると、
ドライ30%
ウェット10%
なので、ドライの方が3倍も高たんぱくに見えます。
でも、水分を除いた部分で比べると印象が変わります。
この比較に使われるのが、
乾物換算(Dry Matter Basis)
です。
計算はそれほど難しくありません。
乾物中の成分% =
表示されている成分% ÷(100-水分%)×100
です。
先ほどの例なら、
30 ÷ 90 × 100
= 約33.3%
10 ÷ 25 × 100
= 40%
となります。
表示上は、
30% vs 10%
だったのに、水分を除いて比較すると、
約33% vs 40%
になります。
つまり、
水分量の大きく違うフードは、パッケージの%だけをそのまま比較しない。
ということです。
環境省も、水分量の異なるペットフードについて、固形分を用いた換算方法を示しています。
成分表示を見ると、
粗灰分
という、少し不思議な項目があります。
これは、
フードを燃焼させたあとに残る無機物(ミネラル成分)の目安
です。
カルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル類が含まれます。
ただし、
粗灰分8%
と書かれていても、
「カルシウムが何%、リンが何%」
まで分かるわけではありません。
個々のミネラル量を知りたい場合は、別の栄養成分表示やメーカー情報を見る必要があります。
ここが、このページで一番伝えたいところです。
成分表示はとても役立ちます。
でも、
粗たんぱく質
粗脂肪
粗繊維
粗灰分
水分
だけを見て、フードの良し悪しを決めることはできません。
一緒に見たいのは、
総合栄養食か
犬用・猫用のどちらか
対象年齢・ライフステージ
原材料
カロリー
給与量
などです。
日本の公正競争規約では、ペットフードについて目的、内容量、与え方、成分、原材料などの表示ルールが定められています。原材料は、添加物以外について原則として使用量の多い順に表示されます。

そして、表示を読んだあとに一番大切なのは、
実際にその子が食べたあとどうなのか。
です。
チェックしたいのは、
食べられている?
体重は安定している?
便はいつも通り?
吐き戻しはない?
皮膚や被毛の状態は?
元気はある?
ということ。
パッケージの数字は、フードを理解するための情報です。
でも、
数字だけで、その子に合っているかまでは分かりません。
表示を読むことと、毎日の犬猫の様子を見ること。
この両方がフード選びには大切です。
ペットフードの成分表示を見たら、まずはこの5つを確認してみましょう。
粗たんぱく質 → ○%以上
粗脂肪 → ○%以上
粗繊維 → ○%以下
粗灰分 → ○%以下
水分 → ○%以下
そして覚えておきたいのは、
数字が高い・低いだけで、フードの良し悪しは決まらない。
特に水分量が大きく違うフードを比べる場合は、乾物換算という考え方も役立ちます。
成分表示は、
「どちらが良い?」を一発で決める点数表ではなく、そのフードを理解するための手がかり。
そして最後は、毎日の便・食欲・体重・体調など、その子自身の様子と一緒に見ることが大切です。
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