
犬猫のうんちは毎日の体調を観察する大切な情報です。便の回数・量・色・硬さ、血や粘液、トイレでいきむ様子など、毎日のうんちチェックで確認したいポイントと受診の目安をわかりやすく解説します。
毎日何気なく片づけている、犬猫のうんち。
でも、うんちには、
回数
量
色
硬さ
形
血や粘液
など、体調を観察するためのさまざまな情報があります。
獣医療でも便を観察するときには、量や硬さ、色、粘液・血液などが重要な情報になります。
大切なのは、
「良いうんち・悪いうんち」と一回だけで判断することではありません。
まず知っておきたいのは、
その子の“いつものうんち”。
毎日の小さな変化を見ていきましょう。
犬猫の便には個体差があります。
毎日ほぼ同じ時間にする子もいれば、日によって多少変わる子もいます。
そこで最初に見るのは、
一般的な正常値より、その子自身の変化。
たとえば、
いつも1日2回 → 急に5回になった
いつも形がある → 数日やわらかい
いつも茶色 → 黒っぽくなった
といった変化です。
便の色・硬さ・回数の変化は、消化器の問題を考える手がかりになることがあります。
まず確認したいのが、
1日に何回出ているか。
「犬猫は1日○回なら正常」と、回数だけで決めることはできません。
食事量や食事内容、年齢などによっても違います。
だからこそ、
いつもの回数と比べる
ことが大切です。
たとえば、
急に回数が増えた
何度も少量ずつする
反対に出なくなった
といった変化を見ます。
大腸に炎症がある場合などでは、少量の便を頻繁にすることがあります。
回数と一緒に、
1回に出る便の量
も見てみましょう。
たとえば、
回数は増えたけれど、1回の量は少ない
という場合があります。
大腸性の下痢では、
回数が増える
1回量は少ない
いきむ
粘液や鮮血がみられる
といった特徴が現れることがあります。
つまり、
「何回した?」だけではなく、「どのくらい出た?」
も大切な情報です。
健康な犬猫の便は、通常は茶色系です。
でも、ときには、
黄色っぽい
緑っぽい
赤い血がついている
黒っぽい
白っぽい
などの変化がみられることがあります。
ただし、
色だけで病気を診断することはできません。
特に注意したいのが、黒くタール状の便です。
消化された血液によって黒く見えることがあり、胃や小腸など上部消化管からの出血の手がかりになる場合があります。
色の変化は、ほかの症状と合わせて確認しましょう。
詳しくはこちら
[犬猫の便の色|茶色・黄色・緑・黒・赤、何が違う?]
うんちは、
硬すぎても、やわらかすぎても
体調を考える手がかりになります。
たとえば、
コロコロして硬い
形はあるけれどやわらかい
泥状
水のような便
などです。
便秘では、排便回数が減ったり、硬く乾燥した便を出しにくそうにしたりすることがあります。
一方、下痢では水分が多くなり、形が崩れたり水様になったりします。下痢が続くと、水分や電解質が失われて脱水につながることもあります。
詳しくはこちら
[犬猫の便の形・硬さ|コロコロ・やわらかい・泥状・水っぽい便の見方]
「いつもより少しやわらかい」
という便と、
「形がなく水のよう」
という便では状態が違います。
便の硬さは、
硬い → 理想的な形 → やわらかい → 泥状 → 水様
という連続した変化として考えると分かりやすくなります。
ですから、
「下痢をした」だけではなく、どのくらいやわらかかったか
を記録すると役立ちます。
詳しくはこちら
[犬猫の下痢・軟便|原因とまず確認したいポイント]
便に血が見えると、とても心配になります。
まず見たいのは、
どんな血なのか。
たとえば、
便の表面に鮮やかな赤い血がついている
場合、肛門・直腸・大腸など比較的下部からの出血でみられることがあります。
大腸炎では、粘液とともに鮮血がみられることがあります。
一方、
黒くタール状の便
は、消化された血液が混ざっている可能性があります。
ただし、便の見た目だけで出血部位や原因を確定することはできません。
詳しくはこちら
[犬猫の血便・粘液便|赤い血・黒い便・ゼリー状の粘液からわかること]
便の表面に、
透明〜白っぽいゼリー状のもの
がついていることがあります。
これは粘液の場合があります。
少量の粘液だけで原因を判断することはできませんが、大腸に炎症があると、粘液を伴う便、排便回数の増加、いきみ、鮮血などがみられることがあります。
一度だけなのか、何度も続いているのかも確認しましょう。
便そのものだけではなく、
出しているときの様子
も大切です。
たとえば、
何度もトイレに行く
長時間しゃがんでいる
力んでいるのに少ししか出ない
排便時に鳴く
などです。
便秘では、硬く乾燥した便を出しにくくなることがあります。
大腸炎でも、排便時のいきみがみられることがあります。
つまり、
「いきむ=必ず便秘」ではありません。
ここは非常に重要です。
猫がトイレで何度もいきんでいると、
「便秘かな?」
と思うことがあります。
ところが実際には、
おしっこが出ない
ためにいきんでいる場合があります。
猫の下部尿路疾患では、頻繁にトイレへ行く、排尿時にいきむ、鳴く、血尿などがみられます。特に尿道閉塞では、尿がほとんど、またはまったく出なくなることがあります。
尿道閉塞は緊急性の高い状態です。
特にオス猫で、
何度もトイレへ行く
いきむ
おしっこが出ていない、または数滴しか出ない
という場合は、便秘だと思って長く様子を見ず、すぐに動物病院へ相談してください。
下痢だけでなく、
便が出ない
ことも大切な変化です。
便秘では、
排便回数が減る
硬く乾燥した便になる
排便しにくそうにする
などがみられます。
原因には脱水、飲み込んだ毛や異物、腸管の狭窄、神経・筋肉の問題、薬剤など、さまざまなものがあります。
「何日出なかったら便秘」と日数だけで判断するのではなく、その子の普段の排便間隔と、いきみ・食欲・元気・嘔吐などを一緒に見ることが大切です。
詳しくはこちら
[犬猫の便秘|何日出なかったら注意する?原因と受診の目安]
うんちに変化があったとき、
便だけを見て終わりにしないようにしましょう。
一緒に確認したいのは、
食欲
元気
嘔吐
飲水量
体重
お腹の痛み
などです。
たとえば、
少しやわらかい便が1回
元気・食欲はいつも通り
なのか、
水のような下痢を何度もする
吐いている
食べない
ぐったりしている
のかでは、状況が大きく異なります。
便だけではなく、その子全体を見ることが大切です。
「病院へ行ったころには、うんちを捨ててしまった」
ということはよくあります。
気になる便が出たら、
スマートフォンで写真を撮っておく
のがおすすめです。
できれば、
全体の形
色
血や粘液がある部分
が分かるように撮影します。
さらに、
9/18 朝
いつもより軟らかい
今日は3回目
食欲・元気あり
など、一言残しておくと診察時にも伝えやすくなります。
難しく考える必要はありません。
うんちを片づけるときに、
① 回数
② 量
③ 色
④ 硬さ・形
⑤ 血・粘液
⑥ いきみ
を見るだけ。
毎回細かく記録しなくても、
「今日もいつも通り」
を確認する習慣が大切です。
そして変化があったときだけ、写真やメモを残しておくと分かりやすくなります。
特に、
水のような下痢を何度もする
下痢が続いている
大量の血が混じる
黒くタール状の便が出る
何度もいきむ
便が出ず苦しそう
嘔吐も繰り返している
食欲がない
ぐったりしている
お腹を痛がっている
などの場合は、動物病院へ相談してください。
子犬・子猫、高齢の犬猫、持病のある子では、状態が変化したときの受診判断をより慎重に考えましょう。
そして猫の場合はもう一度、
「いきんでいるけれど、尿が出ていない」
のであれば、排便の問題ではなく尿道閉塞の可能性もあります。これは緊急対応が必要な状態です。
うんちは、毎日見ることのできる身近な健康情報です。
見るポイントは、
回数
量
色
硬さ・形
血・粘液
いきみ
の6つ。
そして一番大切なのは、
その子の「いつものうんち」を知っておくこと。
一回の便だけで病気を判断することはできません。
でも、
「昨日までと違う」
という変化に気づくことはできます。
毎日のうんちを、捨てる前にほんの数秒見る。
それだけでも、犬猫の健康を観察する習慣になります。