
犬猫の体重が減った・増えたときは何を確認すればよいのでしょうか。定期的な体重測定の方法、見た目だけでは気づきにくい変化、BCS、筋肉量、食べているのに痩せる場合など、毎日の健康管理に役立つポイントを解説します。
毎日一緒に暮らしていると、
少しずつ痩せている。
少しずつ太っている。
という変化は、意外と気づきにくいものです。
特に長毛の犬猫では、毛に隠れて体型の変化が分かりにくいこともあります。
だからこそ役立つのが、
体重を数字で残しておくこと。
「今何kgか」だけではなく、
以前と比べてどう変わっているか
を見ることが大切です。
たとえば、
4.5kg → 4.5kg → 4.4kg → 4.2kg
と記録していれば、
「少しずつ減っている」
という変化が分かります。
反対に、
5.0kg → 5.2kg → 5.4kg → 5.7kg
なら、少しずつ増えていることが分かります。
AAHAでも、体重を継続的に記録することで変化や傾向を早く捉えることが重要とされています。
大切なのは、
今日の数字だけではなく、過去のその子と比べること
です。
家庭で体重を記録するときは、できるだけ条件をそろえます。
たとえば、
同じ体重計
同じくらいの時間帯
食事の前後をそろえる
排泄の前後をなるべくそろえる
などです。
小さな犬猫では数百gの変化でも割合としては大きくなるため、測定条件をそろえて記録すると変化を追いやすくなります。
毎日の細かな増減に一喜一憂するより、
一定の条件で定期的に測って、流れを見る
と考えましょう。
家庭では、
飼い主さん+犬猫の体重
−
飼い主さんだけの体重
で、おおよその体重を測る方法もあります。
小型犬や猫なら、
キャリーやカゴに入れて測り、容器の重さを引く
方法もあります。
家庭用体重計では細かな変化を捉えにくい場合もありますが、
同じ方法で継続する
ことに意味があります。
動物病院を受診したときの体重も記録しておくとよいでしょう。
ここはとても重要です。
同じ5kgでも、
骨格
犬種・猫種
筋肉量
脂肪量
によって、適切な体型は違います。
そのため獣医療では、体重だけではなく、
BCS(ボディコンディションスコア)
も使います。
BCSは、肋骨の触れ方、上から見た腰のくびれ、横から見たお腹のラインなどを使って、体脂肪の状態を評価する方法です。
BCSには5段階や9段階の評価方法があります。
9段階の場合、おおむね中央付近が理想的な体型の目安として使われます。Merckでは犬の理想域を4〜5/9、猫を5/9としています。
理想的な状態では、
肋骨が適度に触れる
上から見ると腰にくびれがある
横から見るとお腹に適度な引き締まりがある
といった特徴があります。
ただし、
「肋骨が見える=必ず痩せすぎ」
「体重が重い=必ず肥満」
という単純な判断ではありません。
犬種・猫種や体格による違いも考えます。
さらに、もうひとつ大切なのが、
筋肉量
です。
獣医療ではMCS(Muscle Condition Score:筋肉コンディションスコア)という考え方があります。
BCSは主に脂肪の状態を見るものですが、MCSは筋肉量を評価します。
そのため、
体重はあまり変わっていないのに、筋肉が減っている
ということもあります。
特に高齢の犬猫では、筋肉量の変化にも注意が必要です。Merckでも、BCSとMCSにはずれが生じる場合があり、脂肪量が維持・増加していても筋肉量が大きく減少しているケースがあると説明しています。
ここはぜひ覚えておきたいポイントです。
普通に食べている。
むしろ以前よりよく食べる。
それなのに、
体重が減っている。
これは重要な変化です。
たとえば猫の甲状腺機能亢進症では、代表的な症状として、
体重減少
食欲増加
飲水・尿量の増加
などがみられます。
糖尿病でも、飲水・尿量の増加とともに体重減少がみられることがあります。
もちろん、
「食べているのに痩せた=この病気」
という意味ではありません。
だからこそ、変化が続く場合には原因を調べてもらうことが大切です。
反対に、
食べる量が減った
+
体重も減っている
場合もあります。
原因はさまざまです。
口や歯の痛み、胃腸の病気、全身性疾患などでも、食欲低下と体重減少が起こることがあります。
胃腸疾患では、食欲低下・嘔吐・下痢と体重減少が一緒にみられることもあります。
「食べないから痩せただけ」
で終わらせず、
なぜ食べなくなったのか
まで考えることが大切です。
高齢になると、体型や筋肉量は変化します。
しかし、
高齢だから痩せるのは当たり前
とは限りません。
高齢犬猫では、BCSと筋肉量の両方を評価することが、加齢による変化と病気に伴う変化を追ううえで重要です。高齢猫では栄養の消化・利用能力の変化が体重や筋肉量に影響する場合もあります。
シニア期ほど、
定期的な体重記録
が役立ちます。
体重減少だけではありません。
ゆっくりした体重増加
も、毎日見ていると気づきにくい変化です。
AAHAも、緩やかな体重増加は飼い主が気づきにくいことを指摘しています。
たとえば、
フードの量は同じでも運動量が減った
おやつが増えた
年齢とともに活動量が落ちた
などによって、必要なエネルギーと摂取エネルギーのバランスが変わることがあります。
肥満は単なる見た目の問題ではありません。
余分な体脂肪は、犬猫の健康にさまざまな影響を与えます。
ただし、
「太ったから今日からごはんを半分」
のような急な自己流ダイエットはおすすめできません。
減量が必要な場合には、
現在の体重
BCS
食事内容
おやつ
活動量
年齢
持病
などを考えて計画します。獣医学的な減量プログラムでも、食事内容とエネルギー摂取、運動などを組み合わせて管理します。
体重が増えてきたとき、
「フードは規定量しかあげていない」
ということがあります。
でも、一日に口にしているのは主食だけでしょうか。
おやつ
家族からもらう食べ物
歯みがきガム
トッピング
サプリメント
薬を飲ませるための食べ物
などもあります。
AAHAの栄養評価でも、主食だけでなく、おやつ・人の食べ物・サプリメント・投薬に使う食べ物まで含めて確認することが推奨されています。
一日の「全部」を一度書き出してみると分かりやすくなります。
数字だけでなく、
写真
も役立ちます。
たとえば月に一度、
上から
横から
同じような場所・姿勢で撮影しておきます。
AAHAの猫のライフステージガイドラインでも、BCSや筋肉量の微妙な変化を追うため、上面・側面からの写真を残す方法が推奨されています。
半年後に並べて見ると、
「腰のくびれがなくなってきた」
「背中や腰回りが細くなってきた」
など、毎日見ていると分からなかった変化に気づくことがあります。
難しい健康管理表を作る必要はありません。
たとえば、
日付 | 体重 | 食欲 | 気づいたこと |
|---|---|---|---|
9/1 | 4.5kg | 普通 | いつも通り |
10/1 | 4.4kg | 普通 | 特になし |
11/1 | 4.2kg | 普通 | 水をよく飲む? |
これだけでも十分です。
こうして残しておけば、
体重だけでなく、ほかの変化との関係
も見えてきます。
体重が変わってきたら、
食欲は?
食べる量は?
水を飲む量は?
おしっこの量は?
吐いていない?
下痢していない?
うんちはいつも通り?
元気・活動量は?
筋肉が落ちていない?
薬を飲んでいる?
も確認しましょう。
体重だけで病気を判断することはできません。
でも、ほかの変化と組み合わせることで、大切な手がかりになります。
特に、
理由なく体重が減り続ける
食べているのに痩せる
食欲低下と体重減少が続く
水をよく飲み、おしっこも増えた
嘔吐や下痢が続いている
元気がなくなった
筋肉が明らかに落ちてきた
急な体重変化がある
場合は、動物病院へ相談しましょう。
AAHAの栄養評価ガイドラインでも、原因の分からない体重変化や筋肉量の低下は、さらに詳しく評価する必要がある栄養上・健康上のリスク因子とされています。
今日の体重だけでは、
その子の変化は分からないことがあります。
大切なのは、
定期的に測る
同じ条件で測る
数字を残す
以前と比べる
こと。
さらに、
体重+BCS+筋肉量+食欲+飲水量+元気
を一緒に見ていきましょう。
見た目だけでは気づきにくいからこそ、
数字で残す。
それが毎日の小さな変化に気づく、大切な健康チェックになります。
ここは、直前に作った2記事との内部リンクがとてもきれいです。
[犬猫の食欲・食べ方|食べない・食べる量が減ったときに確認したいこと]
[犬猫の飲水量|水を飲む量が増えた・減ったときに確認したいこと]