
犬猫がいつもより寝ている、遊ばない、隠れる、落ち着かないときは何を確認すればよいのでしょうか。元気や行動、歩き方、姿勢、食欲、排泄など、毎日の健康チェックで気づきたい変化と受診の目安を解説します。
「今日はよく寝ているな」
「いつものおもちゃに反応しない」
「最近、隠れていることが増えた気がする」
病気のサインというと、嘔吐や下痢、発熱など、はっきりした症状を想像しがちです。
でも犬猫では、
「なんとなく、いつもと違う」
という行動の変化が、体調不良や痛みに気づく最初のきっかけになることがあります。
痛みがある動物では、活動量や姿勢の変化、食欲低下、じっとしている、落ち着かない、隠れるなど、さまざまな行動変化がみられることがあります。
毎日の健康チェックでは、その子の“いつも”と比べることから始めましょう。
「元気がない」という言葉は、とても幅があります。
たとえば、
いつも玄関まで迎えに来るのに来ない
散歩に行きたがらない
お気に入りのおもちゃで遊ばない
呼んでも反応が鈍い
いつもより長く寝ている
なども「元気の変化」です。
反対に、
落ち着かず歩き回る
何度も寝場所を変える
なかなか楽な姿勢がとれない
という変化として現れることもあります。
痛みや不快感がある動物では、じっとする場合もあれば、反対に落ち着かなくなる場合もあります。
犬も猫も、もともとよく眠る動物です。
そのため、
「何時間寝たら病気」
という単純な判断はできません。
見るべきなのは、
その子自身の普段と比べてどうか。
たとえば、
昼寝はいつも通り
↓
起きてもすぐ横になる
あるいは、
ごはんの時間には必ず起きてきた
↓
呼んでも寝たまま
という変化です。
睡眠時間だけではなく、起きているときの反応や活動量も一緒に見てみましょう。
いつも好きだった、
ボール
猫じゃらし
追いかけっこ
散歩
などに興味を示さなくなることがあります。
もちろん、その日の気分や疲れで遊ばないこともあります。
ただ、
何日も続いている
食欲も落ちている
動き方も変わった
など、ほかの変化も伴っているなら注意して見てみましょう。
猫では、以前より活動しなくなったり遊ばなくなったりする変化が、体調や痛みの手がかりになることがあります。
特に猫で気づきたい変化です。
いつもは家族のいる部屋にいる猫が、
ベッドの下
家具の奥
クローゼット
人目につかない場所
などにいる時間が増えることがあります。
猫は体調不良や痛みがあっても、目立った症状を見せない場合があります。隠れる、引きこもるといった行動も痛みや不調でみられる変化のひとつです。
ただし、
隠れる=必ず病気
ではありません。
来客、騒音、引っ越し、新しい犬猫など、環境の変化でも行動は変わります。
大切なのは、
「なぜ急に変わったのだろう?」
と考えることです。
体調が悪いと、必ず静かになるとは限りません。
何度も立ったり座ったりする
部屋を歩き回る
寝場所を何度も変える
なかなか横にならない
といった行動がみられることもあります。
痛みがある動物では、落ち着かなさや不安そうな行動、楽な姿勢をとれない様子などがみられる場合があります。
「元気がない」の反対に見えるため、見逃しやすいポイントです。
毎日の移動も大切なチェックポイントです。
歩くのが遅くなった
足をかばう
階段を嫌がる
ジャンプしなくなった
ソファに上がらなくなった
トイレの段差を嫌がる
などはないでしょうか。
特に猫では、関節の痛みがあっても、分かりやすく鳴いて痛がるとは限りません。
「年をとったから動かなくなった」と思っていた変化が、関節の痛みなどに関連していることもあります。
犬猫の体調は姿勢にも現れることがあります。
たとえば、
背中を丸めている
頭を下げてじっとしている
いつもと違う姿勢で寝る
お腹をかばうような姿勢をとる
などです。
痛みがある動物では、動き方や姿勢が変化することがあります。
ただし、姿勢ひとつだけで「ここが痛い」と判断することはできません。
ほかの症状と合わせて観察します。
以前は撫でられるのが好きだったのに、
急に逃げる
触ると振り返る
唸る
猫が噛む・引っかく
特定の場所だけ触らせない
といった変化がみられることがあります。
痛みがある猫では、触られたり動かされたりすることを避けるために攻撃的な反応を示す場合もあります。
急な性格の変化を、
「機嫌が悪い」
「わがままになった」
だけで片づけず、身体的な不調がないかも考えてみましょう。
犬猫は言葉で、
「今日は気持ち悪い」
「ここが痛い」
とは伝えられません。
だから、
目つき
耳の位置
頭の位置
顔の緊張
体の構え方
なども観察材料になります。
獣医療では、犬猫それぞれの行動や表情を利用した痛み評価スケールも使われています。
ただし、表情だけで病気を診断するものではありません。
あくまで、
「いつもと違う」ことに気づく材料
として考えましょう。
猫なら、
毛づくろいをしなくなった
ことも体調変化の手がかりになります。
反対に、特定の場所を何度も舐めることもあります。
痛みがある動物では、敏感な場所を舐めたり噛んだりする行動がみられることがあります。
猫の被毛が急に、
ボサボサしてきた
脂っぽくなった
毛玉が増えた
という場合も、毛づくろいが十分できているか見てみましょう。
行動に変化があったら、
食欲は?
水を飲む量は?
おしっこは?
うんちは?
吐いていない?
体重は?
も一緒に確認します。
たとえば、
寝ている時間が増えた
+
食欲も落ちた
あるいは、
隠れるようになった
+
トイレに何度も行く
というように、複数の変化が同時に起きていることがあります。
病気による行動変化には、元気消失、引きこもり、食欲低下、毛づくろいの減少、刺激への反応の変化などが含まれます。
シニアになると、
よく寝るようになった
遊ばなくなった
ジャンプしなくなった
という変化がみられることがあります。
でも、
すべてが年齢だけのせいとは限りません。
関節の痛みなどによって活動量が落ちていることもあります。高齢猫では、行動や身体状態の変化を単純に「老化だから」と考えないことが重要だとCornellも説明しています。
また、高齢猫では認知機能の変化によって、睡眠・覚醒リズムの変化、夜間の鳴き声、遊びへの関心低下、排泄場所の変化などがみられる場合もあります。
歩き方や行動の変化は、
動物病院では再現しない
ことがあります。
家では足をかばっていたのに、診察室では普通に歩く。
家では落ち着かず歩き回っていたのに、病院では緊張して固まっている。
そんなこともあります。
気になる行動があれば、
歩き方
立ち上がり方
階段の上り下り
呼吸の様子
落ち着かない行動
などを動画に残しておくと、診察時に状況を伝えやすくなります。
「なんとなく違う」と感じたら、
いつから?
寝ている時間は増えた?
遊ぶ?
散歩に行きたがる?
隠れていない?
落ち着かない?
歩き方は?
姿勢は?
触られるのを嫌がる?
食欲は?
水は?
吐いた?
うんち・おしっこは?
体重は?
を確認してみましょう。
すべて記録する必要はありません。
たとえば、
9/18
朝からソファに上がらない。
食欲はいつも通り。
右後ろ足を少しかばっているように見える。
これだけでも、とても役立つ記録になります。
元気・行動の変化に加えて、
ぐったりして反応が弱い
立てない・歩けない
呼吸が苦しそう
何度も吐く
食べない
強く痛がる
お腹が急に膨らんだ
けいれん・意識の異常がある
排尿できない・何度もいきむ
急激に状態が悪くなった
などがある場合は、早めに動物病院へ相談してください。
また、緊急に見えなくても、
「いつもと違う状態が続いている」
なら、一度獣医師に相談する価値があります。
犬猫は痛みや病気があっても、必ずしも分かりやすい症状を見せるとは限りません。
毎日一緒に暮らしているからこそ分かる、
「今日はちょっと違う」
があります。
見るポイントは、
寝る時間
遊び方
隠れる行動
落ち着き
歩き方
姿勢
食欲
飲水量
排泄
です。
ひとつの行動だけで病気を判断することはできません。
でも、
「その子のいつも」を知っていることは、変化に気づくための大切な基準になります。
「なんとなくいつもと違う」。
その感覚を、毎日の健康チェックのひとつとして大切にしてみてください。
[犬猫の食欲・食べ方|食べない・食べる量が減ったときに確認したいこと]
[犬猫の飲水量|水を飲む量が増えた・減ったときに確認したいこと]