
シニア犬・シニア猫のトイレ環境で見直したいポイントを解説。トイレの失敗が増えた、間に合わない、段差をまたぎにくい、排泄時にいきむなど、年齢とともに起こる変化と病気の可能性、トイレを使いやすくする工夫を紹介します。
「今まで失敗しなかったのに、トイレの手前でするようになった」
「猫がトイレに入りにくそう」
「夜中に間に合わなくなった」
シニア犬・シニア猫では、排泄の様子が変わることがあります。
そんなとき、
「年をとったから仕方ない」
で終わらせないことが大切です。
病気によって排泄の回数が変わっていることもあれば、関節の痛みや筋力の変化によって、
トイレへ行くこと自体が大変になっている
場合もあります。
まず体調の変化を確認し、そのうえで、
今のその子が使いやすいトイレ環境
を考えていきましょう。
シニアになると、
「年だからトイレを失敗するようになった」
と思ってしまいがちです。
でも、排泄場所の変化には、
尿量が増えた
排尿回数が増えた
下痢をしている
便秘でいきんでいる
関節が痛い
歩きにくい
認知機能に変化がある
など、さまざまな原因が関係する可能性があります。
特にシニア猫の排泄トラブルでは、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症など、多飲・多尿につながる病気も考慮する必要があります。AAHA/AAFPは、シニア猫に排泄トラブルが現れた場合には、まず十分な医学的評価を行うことを勧めています。
トイレを失敗したとき、
「失敗した」という結果だけを見るのではなく、
どんな変化が起きているか
を確認します。
たとえば、
トイレへ行く回数が増えた
おしっこの量が増えた
便がやわらかくなった
便が出にくそう
トイレの入口でためらう
トイレの手前でしてしまう
夜だけ失敗する
寝床の近くで排泄する
など。
この違いによって、考えるべきことも変わってきます。
ここは大切なポイントです。
たとえばトイレの横で排泄していたとしても、
トイレへ行ったけれど入口をまたげなかった
のか、
排泄したくなってからトイレまで間に合わなかった
のかでは状況が違います。
ほかにも、
滑る床を歩きたくない
階段を降りたくない
トイレ内で姿勢を保つのがつらい
という可能性もあります。
排泄場所だけではなく、
トイレへ向かうところから観察する
と原因を考えるヒントになります。
若いころには何でもなかったトイレの縁。
シニアになると、その数センチが負担になることがあります。
特に、
関節に痛みがある
後ろ足の筋力が落ちている
足を高く上げにくい
といった犬猫では、
トイレをまたぐ動作そのものが難しくなる場合があります。
AAHA/AAFPは、移動能力に問題があるシニア猫では、入口の低いトイレを使用することを勧めています。
若いころなら、
寝室から廊下を歩き、階段を下りてトイレへ。
それでも問題なかったかもしれません。
でもシニア期では、
トイレまでの距離そのものが負担
になることがあります。
AAHAのシニアケアガイドラインでは、移動能力に合わせて住環境を調整することが推奨されています。シニア猫では、トイレを主要な生活場所の近くに設置し、階段を使わずアクセスできるようにすることも勧められています。
つまり、
「トイレはここ」と人間側の都合だけで固定しない
ことも大切です。
寝床とトイレが離れている場合、
よく過ごす場所の近くにもトイレを追加する
という方法があります。
特に、
家が広い
複数階ある
夜は別の部屋で寝る
という場合は、
その子が長い距離を移動しなくても排泄できる環境を考えます。
「今まで1か所で大丈夫だったから」ではなく、
今の移動能力に合わせる
という考え方です。
前の記事「運動と筋力」ともつながります。
フローリングなどの滑りやすい床では、足腰が弱くなった犬猫が歩きにくくなることがあります。
トイレへ行く途中や、トイレの周囲に、
滑りにくいマット
カーペットランナー
ヨガマット
などを利用する方法があります。
AAHAも、シニア犬猫の移動を助ける住環境の工夫として、ラグやヨガマットなどによる滑りにくい足場を挙げています。
トイレへ入れれば終わりではありません。
排泄するときには、
しゃがむ
姿勢を保つ
踏ん張る
向きを変える
といった動作が必要です。
シニア犬猫では、こうした動作が負担になることがあります。
トイレの中で、
足が滑っていないか
窮屈そうではないか
姿勢を保ちにくそうではないか
も見てみましょう。
猫が中で方向転換したり、排泄場所を選んだりできるよう、
体に対して十分な広さがあるか
も確認しましょう。
シニア猫ではさらに、
広さ+入口の低さ+アクセスのしやすさ
をセットで考えます。
「昔から使っているトイレだから大丈夫」とは限りません。
猫の体が変われば、使いやすいトイレも変わる
ことがあります。
室内で排泄する犬の場合も同じです。
シニアになると、
トイレまで間に合わない
シートから少し外れる
姿勢を保ちにくい
といったことがあります。
そんな場合は、
トイレエリアを広げる
シートを複数枚敷く
寝床から近い場所にも設ける
滑りにくい足場にする
など、その子の動きに合わせた工夫を考えます。
叱ることより、
なぜ間に合わなかったのか
を見ることが先です。
今までできていた子がトイレを失敗すると、
「どうしてここでするの?」
と思ってしまうかもしれません。
でもシニア期では、
体が思うように動かない
トイレまで間に合わない
痛くてまたげない
病気によって排泄回数が増えている
可能性があります。
失敗そのものを叱っても、原因は解決しません。
まず、
体調と環境の両方
を確認しましょう。
トイレの失敗が増えたときには、
飲水量と尿量
も見てください。
特に、
最近よく水を飲む
おしっこの量が増えた
大きな尿の塊ができる
夜中にも何度も排尿する
といった変化があれば、病気が関係している可能性があります。
シニア猫では、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症など、多飲・多尿を起こす疾患が排泄行動の変化につながる場合があります。
「トイレを我慢できなくなった」
だけで済ませないようにしましょう。
うんちをトイレ以外でするようになった場合は、
便そのもの
も確認します。
やわらかくない?
下痢していない?
硬すぎない?
血や粘液はない?
何度も少量ずつしていない?
AAHA/AAFPも、シニア猫がトイレ以外で排便する場合、便の状態を記録して経過を見ることを勧めています。
トイレの問題に見えて、実は消化器の問題ということもあります。
猫では特に重要です。
トイレで何度も力んでいると、
「便秘かな?」
と思うことがあります。
しかし、
おしっこが出なくていきんでいる
場合もあります。
特に、
何度もトイレへ行く
いきむ
尿がほとんど出ていない
落ち着かない
という場合は、便秘だと決めつけず、早急に動物病院へ相談してください。
排泄の様子を見るときは、
うんちなのか、おしっこなのか
まで確認することが重要です。
昼間は問題ないのに、
夜になるとトイレを失敗する
という場合もあります。
考えられる理由はひとつではありません。
暗くて見えにくい
寝床からトイレが遠い
起きてから間に合わない
夜間に行動が変化している
などがあります。
シニア犬猫では視覚や認知機能などにも変化が生じる可能性があります。
必要に応じて、
夜間照明をつける
寝床の近くにトイレを設置する
なども考えます。AAHAもシニアペットの家庭環境の工夫として、夜間照明などを挙げています。
ここは特に大切です。
昨日まで問題なくできていたのに、
突然トイレを失敗するようになった。
そんな場合は、
「トイレを買い替えよう」
だけで終わらせないようにしましょう。
AAHA/AAFPは、特にシニア猫の排泄問題では医学的な原因を調べることが重要だとしています。
環境改善と健康チェックは、
どちらか一方ではなく両方
を考えます。
まずは家の中を、その子の目線で見てみましょう。
□ トイレまで遠すぎない?
□ 階段を使わないと行けない?
□ 入口が高すぎない?
□ 中で方向転換できる?
□ 床が滑っていない?
□ 排泄姿勢を保てている?
□ 夜でもトイレへ行ける?
□ よく過ごす場所の近くにもある?
AAHAのシニアケアガイドラインでも、スロープ、滑りにくい床、トイレの配置や形状など、移動能力に合わせた家庭環境の調整が推奨されています。
シニア犬・シニア猫で、
突然トイレの失敗が増えた
おしっこの量や回数が急に変わった
水を飲む量が増えた
何度もトイレへ行く
いきんでいる
尿がほとんど出ない
血尿・血便がある
下痢や便秘が続く
排泄時に痛そう
歩き方も変わった
体重や食欲にも変化がある
などがあれば、
「年齢のせい」と決めつけず、動物病院へ相談しましょう。
特に、尿が出ない・ほとんど出ない状態は緊急性が高い場合があります。
シニア犬・シニア猫のトイレで大切なのは、
昔と同じ環境を使い続けることではありません。
年齢とともに、
歩く
またぐ
しゃがむ
踏ん張る
トイレまで移動する
といった動作が大変になることがあります。
そんなときは、
入口を低くする
トイレを近くする
数を増やす
滑りにくくする
夜間も行きやすくする
など、今のその子に環境を合わせます。
ただし、
「トイレの失敗=環境の問題」とも限りません。
病気や痛みが隠れていないか確認することも同じくらい大切です。
その子にトイレを合わせる。
その子をトイレに合わせない。
これが、シニア期のトイレ環境を考える基本です。