
シニア犬・シニア猫の食事と体重管理で大切なことは?年齢とともに変化する食欲、必要なエネルギー、体重、体脂肪、筋肉量を確認しながら、痩せてきた・太ってきたときに見直したいポイントをわかりやすく解説します。
「シニアになったから、フードを減らしたほうがいい?」
「最近少し痩せてきたけれど、年齢のせい?」
犬猫が年齢を重ねると、食事について気になることが増えてきます。
でも、シニア期の食事で大切なのは、
年齢だけを見て一律に食事を変えることではありません。
見るべきなのは、
食欲
食べる量
体重
体脂肪
筋肉量
活動量
そして、その子自身の変化です。
必ずしもそうではありません。
犬では年齢とともに維持エネルギー要求量が低下する傾向がありますが、猫では年齢によるエネルギー必要量の変化に大きな個体差があります。
つまり、
「シニアになった=全員カロリーを減らす」
ではありません。
活動量が減って体重が増えてきた子と、反対に体重や筋肉が減ってきた子では、必要な対応が違います。
まずは、
今の食事で、その子の体がどう変化しているか
を見てみましょう。
シニア期では、
「見た感じは変わらない」
と思っていても、少しずつ体重が変化していることがあります。
たとえば、
5.2kg
↓
5.1kg
↓
4.9kg
↓
4.7kg
一回だけなら分かりにくい変化でも、記録すると傾向が見えてきます。
できれば、
同じ体重計
同じような時間帯
食事や排泄との条件もなるべく揃える
と比較しやすくなります。
大切なのは、一回の数字ではなく、
「点」ではなく「線」で見ること。
ここがシニア期では特に大切です。
体重が変わっていなくても、体の中身が変わっていることがあります。
たとえば、
以前:筋肉がしっかりしている
↓
現在:筋肉が減り、脂肪の割合が増えている
ということがあります。
体重計ではどちらも5kg。
でも、体の状態は同じではありません。
そのためWSAVAでは、栄養評価に、
BCS(Body Condition Score)
MCS(Muscle Condition Score)
を使用しています。BCSは主に体脂肪の状態、MCSは筋肉の状態を評価するものです。
BCSは、
犬猫が痩せているのか、適正なのか、太っているのか
を体脂肪の状態から評価する方法です。
見るのは、
肋骨の触れ方
腰のくびれ
お腹のライン
脂肪のつき方
など。
「○kgなら適正」という考え方ではありません。
同じ5kgの猫でも、骨格や筋肉量、脂肪量によって体型は違います。
だから、
体重+体型
を一緒に見ます。
そして、もうひとつ重要なのが、
MCS=筋肉の状態。
WSAVAでは、BCSが脂肪量を見るのに対して、MCSは筋肉を評価し、筋肉は病気や加齢の影響を受ける可能性があるとしています。
たとえば、
背骨が以前より目立つ
肩まわりが薄くなった
後ろ足が細くなった
腰まわりの筋肉が減った
などがないか見てみましょう。
「体重は変わっていないから大丈夫」
だけでは、筋肉の変化を見逃すことがあります。
シニア犬・シニア猫が少しずつ痩せてくると、
「もう年だからね」
と思ってしまうことがあります。
でも、理由の分からない体重減少は、年齢だけで片づけないことが大切です。
AAHAのシニアケアガイドラインでも、シニア期にみられる慢性疾患の臨床徴候として、食欲低下、飲水パターンの変化、活動性の変化などとともに、時間をかけて進む体重減少が挙げられています。
特に、
食べているのに痩せている
場合は、一度動物病院へ相談したい変化です。
「食欲がある=体重も維持できている」
とは限りません。
たとえば猫の甲状腺機能亢進症など、食欲がある、あるいは増えているのに体重が減る病気もあります。
また糖尿病や消化吸収に関係する病気などでも体重減少がみられることがあります。
もちろん、
食べているのに痩せる=特定の病気
という意味ではありません。
だからこそ、
食欲+体重の変化
を一緒に記録することが大切です。
反対に、
食べる量そのものが減っている
場合もあります。
シニア期では、
口や歯の痛み
吐き気
消化器の不調
慢性疾患
痛み
など、さまざまな理由で食欲が低下することがあります。
AAHAではシニア犬猫の口腔内を毎回の診察で確認することを推奨しており、普段と違う食べ方を動画で記録することも評価に役立つとしています。
「食べない」だけでなく、
食べたいのに食べにくそうではないか
も見てみましょう。
たとえば、
食べるのが遅くなった
途中でやめる
フードを口から落とす
片側だけで噛んでいるように見える
硬いものを避ける
お皿まで来るけれど食べない
など。
単純に、
「シニアだから食が細くなった」
とは限りません。
気になる場合は食事中の様子を動画に撮っておくと、動物病院で説明しやすくなります。
シニア期では活動量が低下する子もいます。
若いころと同じ量を食べていても、
消費するエネルギーとのバランスが変わり、少しずつ体重が増える
ことがあります。
特に、
6.0kg → 6.1kg → 6.3kg → 6.5kg
のようなゆっくりした変化は、毎日見ていると気づきにくいものです。
だからこそ定期的に測定します。
体重が増えたからといって、
自己判断で急激に食事量を減らす
のはおすすめできません。
特に猫では、食事摂取量が大きく低下することには注意が必要です。
体重管理では、
現在の体重
BCS
MCS
食事内容
1日の総摂取カロリー
活動量
病気の有無
などを踏まえて考えます。
シニア期ほど、単純な「食事制限」ではなく、その子に合わせた栄養管理が重要です。AAHAもシニア犬猫の栄養について個別化した評価を重視しています。
フードの量だけを見て、
「そんなに食べていないのに太る」
ということがあります。
そんなときは、
おやつ
人の食べ物
デンタルガム
トッピング
投薬に使う食べ物
なども含めて、一日に口にしているものを確認します。
少量ずつでも、毎日積み重なると総摂取量に影響します。
年齢だけを理由に、必ず変更しなければならないわけではありません。
シニア犬猫は、
健康状態
体重
BCS・MCS
活動量
持病
食欲
などによって必要な栄養管理が異なります。
AAHAのガイドラインでも、シニア期の栄養は一律ではなく、健康状態や疾患に応じて個別に考えることが重視されています。
今の食事で体重・筋肉・健康状態が安定しているなら、「○歳になったから」という理由だけで慌てて変更する必要はありません。
これも、一律には言えません。
健康なシニア犬猫だからという理由だけで、たんぱく質を制限するものではありません。
むしろシニア期では、筋肉量を維持できているかを見ることが重要です。
一方、慢性腎臓病など特定の疾患では、病期や状態に応じた療法食・栄養調整が必要になることがあります。
AAHAも、健康な動物や初期の腎疾患では一律のタンパク質制限は必要ではなく、腎疾患が進んだ段階では量と質を慎重に管理するとしています。
つまり、
「シニア=低たんぱく」ではありません。
持病がある場合は獣医師と相談して食事を選びましょう。
パッケージに、
「シニア用」「7歳以上」「高齢犬・高齢猫用」
と書いてあると安心してしまいがちです。
でも、大切なのは表示だけではなく、
今のその子に合っているか。
年齢が同じでも、
太りやすい子
痩せてきた子
筋肉が落ちてきた子
よく運動する子
持病がある子
では、必要な食事は同じではありません。
年齢だけでなく、その子の現在の状態から選ぶという考え方を持ちましょう。
体調に問題がなく、フードを変更するときは、
急に全部入れ替えるのではなく、少しずつ切り替える
ほうが一般的です。
特にシニア期では、
「食べてくれるか」
「便は変わらないか」
「吐いていないか」
も確認します。
持病があって療法食への変更が必要な場合などは、獣医師の指示を優先してください。
難しい栄養管理をする必要はありません。
まずは、
体重
食欲
食べる量
BCS
筋肉の状態
飲水量
うんち
嘔吐
活動量
を見てみましょう。
たとえば、
月 | 体重 | 食欲 | 気になること |
|---|---|---|---|
7月 | 5.2kg | ◎ | 特になし |
8月 | 5.0kg | ◎ | 少し背中が細く見える |
9月 | 4.8kg | ◎ | 後ろ足も細くなった? |
こうして並べると、
「食べているのに少しずつ痩せている」
という変化にも気づきやすくなります。
シニア犬・シニア猫で、
理由なく体重が減り続ける
食べているのに痩せる
急に食べなくなった
食べにくそうにする
水を飲む量や尿量が増えた
嘔吐や下痢が続く
急に体重が増えた
筋肉が明らかに減ってきた
元気・活動量も落ちている
などがあれば、
「年齢のせい」と決めつけず、動物病院へ相談しましょう。
シニア期には慢性疾患のリスクも高くなり、体重減少、食欲低下、飲水の変化、活動性の変化などが病気の手がかりになる場合があります。
シニア犬・シニア猫の食事管理で大切なのは、
「何歳だから、このフード」
「年をとったから、食事を減らす」
と一律に決めないことです。
見るのは、
食べている?
体重は変わっていない?
太ってきていない?
痩せてきていない?
筋肉は落ちていない?
そして、
体重だけではなく、BCSと筋肉の状態も一緒に見る。
WSAVAも、BCSで体脂肪を、MCSで筋肉を評価することを栄養評価の重要な要素としています。
シニア期だからこそ、
「何を食べさせるか」だけではなく、「食べた結果、その子の体がどう変化しているか」
を見ていきましょう。
[犬猫の食欲・食べ方|食べない・食べる量が減ったときに確認したいこと]
[犬猫の飲水量|水を飲む量が増えた・減ったときに確認したいこと]